
お葬式の一連の流れの中で、ご納棺の儀式・・・ここ那須塩原市では、宗派によって若干の違いはありますが、親族みんなでお通夜の前に故人様に仏衣を身に着け、お棺へとお納めします。
呼び方も様々で【のうかん】と呼んだり【にっかん】と呼んだりします。特に那須塩原市では【にっかん】と呼ぶ方が多い印象です。本日は、納棺についてのお話しをいたします。
目次
■納棺の流れ
一般的に那須塩原市、大田原市などの栃木県北部では、お通夜の前にご親族様だけ集まっていただき執り行います。
はじめに湯灌(ゆかん)と言って、清浄綿を使い故人様のお手元やお足元を拭いていきます。これは、お清めの意味があります。ただ昔は、大きなタライにお湯を張って、そのお湯で故人様のお身体を洗い清めたそうです。
これを那須塩原市におきましては、清浄綿で代用されることが多いです。湯灌が終わりましたら、宗派にもよりますが、旅支度、または最後のお着換えと言って、故人様のお身体に仏衣を身に着けていきます。
それらが終えましたら、故人様をお棺へとお納めし、フタを閉じ、終了となります。
■那須塩原市の独特な風習
那須塩原市や大田原市などは、ご納棺の儀式の前にお豆腐とお酒を召し上がって、お身体を清め、手ぬぐいを首に下げて儀式にのぞむという風習が古くから存在します。
特に手ぬぐいを首から下げるというのは、全国でもこの地域だけと言っていいくらい独特な風習です。どのような意味があるのかと言いますと、納棺が終わり、最後にお塩とお水で手をお清めします。
その際、濡れた手をその手ぬぐいを使って拭きます。そして、その手ぬぐいをご自宅へ持ち帰り、ぞうきんや窓ふきなどに使うこと、何かに利用することがひとつの供養と言われています。昨今は、コロナの影響でお豆腐、お酒を召し上がる方は減っておりますが、手ぬぐいは使われる方は多いです。
その他にも、昨今は葬儀会館を利用して、お通夜、お葬式を行う方が増えていますが、那須塩原市では納棺の儀式だけご自宅で行ったのち、会館へ移動し、通夜、葬儀と行うこともあります。これは、故人様をなるべく自宅に居させてあげたいという気持ちから行っているものです。
■旅支度
仏教において、浄土真宗以外の宗派は、人が亡くなると四十九日をかけて仏の世界へ向かって旅をすると言われています。
※ちなみに浄土真宗は、亡くなるとすぐに仏の世界へと行かれます。旅をするという考えはありません。
この旅支度、および最後のお着換えをご親族様の手で身に着けていただきます。まずは、足元から【足袋・足を守るもの】【脚絆・膝下を守るもの】【手甲・手を守るもの】【頭陀袋・六文銭を入れる袋】【天冠・魔除けの三角頭巾】【草鞋・足を守るもの】こちらを身に着けていきます。
最後に経帷子(きょうかたびら)と言った仏衣をお身体に掛けます。ただし、この経帷子は、事前に納棺師が着せている場合もあります。
ちなみに六文銭とは、諸説ありますが、三途の川の渡し賃と言われています。旅支度が終わりましたら、お棺へとお納めいただき、【金剛杖】【念珠】を故人様へお手向けし、布団を掛け、棺のフタを閉じます。
ただし、浄土真宗では、天冠や頭陀袋等が不要な場合があります。
■1日葬の場合は?
一般的にご納棺は、お通夜の前に行うことがこの地域の流れですが、最近増えている1日葬儀の時はどうするのか?この場合は、葬儀の前に行います。
ただ、スケジュール的に慌ただしくなることが多いため、葬儀の1時間30分~2時間前に行うことが多いです。バタバタしないためにも、タイムスケジュールは葬儀屋さんとよく打ち合わせされることをおすすめします。
■最後に
地域によって様々な風習がありますが、コロナだからと言ってすべてを簡素化して行うのではなく、昔からの風習を重んじることが故人様を思う気持ちにもなります。地域の風習はいつになっても大切に残していきたいですね。