2020年05月06日
故人様のご安置後、お葬儀の打ち合わせのなかで、まず思い出にあがったのは、家族とめぐった全国旅行のお話でした。 ご家族が押し入れから分厚いアルバムを何冊も取り出すと、そこには満面の笑みで家族と映る、故人様の元気なお姿がありました。 また、アルバムにはガイドブックや切手、入場券の半券、宿の夕食のメニューまでもが丁寧に貼り付けられていました。 「これは全部お父さんが作ったんだよ。もともとマメな人だったけど、今思えば、これが趣味だったのかなあ…」 そんなお父さんの「家族旅行計画」は、自分の行きたいところを見つけると、あとはご長男さんに任せきりでした。「宿を取ったり、新幹線を手配するのは僕ばっかりでね… 任せるくせに、温泉がいい、日帰りがいいって、要望が多いから困ったよ」と、笑っている様子が印象的でした。 そんなお父さんの「家族旅行」は、全国制覇までで残り４県を残した状態でした。 そこで、残り４県のガイドブックを用意し、ご遺族の方に付箋を貼ってもらい、通夜の夜に「家族旅行計画」を立てて頂きました。 「体悪くしてからは行けなかったからね。本人はもう飛んで行っちゃって、いないんじゃないかな」と、棺にガイドブックを手向けながら、ご長男さんはまた、笑っていらっしゃいました。
